日ごとに暖かさを感じられるようになりましたが、皆様いかがお過ごしですか?セフティーの山田です。
暖かくなって来ましたが、朝夕はまだまだ寒さを感じます。季節の変わり目でもあるので、体調管理には十分にお気をつけ下さい。
さて、日々の体調や健康管理は「長生き」するために必要なことかと存じますが、高齢になっても「心身を健やかに保つ」ことがとても重要です。
心身の「身」は文字通り「健康寿命」ですが、「心」を健やかに保つためには「資産寿命」を意識する必要があります。(資産寿命とは老後のために蓄えた預貯金などの資産が、尽きるまでの期間を指します)
2019年6月3日に金融庁が発表した「高齢社会における資産形成・管理」に関する報告書の以下一文がクローズアップされ、「老後2000万円問題」としてメディアで大きな話題となりました。
収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約1,300万円、30年で約2,000 万円の取崩しが必要になる。
引用:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(16ページ)
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
この「老後2000万円問題」は字面のインパクトから炎上してしまい、冷静な議論や分析が出来ない状況でした。この報告書が指摘したい本質は以下のとおりです。
そもそも、根拠となった総務省の家計調査も「平均値」となるので、すべての人がまったく同じ条件にはなりません。では、なぜこの様な報告書を出したのでしょうか?
それは「生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要性」を国民に認識させて、NISAやiDeCoという制度の導入に至ったという事が考えられます。
人生100年時代&少子高齢化の現代において公的年金だけでは、ゆとりがある老後をすごすのが難しくなっています。
心身ともに切り詰めた老後の生活ではなく、旅行や趣味、住宅や車の修繕、少し贅沢した飲食など。。。ゆとりある老後を過ごすための自助努力として、NISAやiDecoなどの投資(資産運用)が注目を浴びている訳です。
皆さんは投資と聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
・儲かるの?損もするの?
・何だか怖いな~
・何から始めたら良いのだろうか?
・ずっとパソコンを見ていなければいけない?
もしかしたら、こんなイメージがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私も投資を勉強する前は、このように考えていた1人でありました。
投資はギャンブルと異なります。大金を短期的に売買するのは投機でありギャンブルに近い手法ですが、余裕資金で中長期的に考える投資はまったく別物です。
正しい知識を勉強し、仕組みやリスクを理解した上で、投資(資産運用)を開始するのは資産寿命を伸ばす上でとても有効な手段の1つです。
さて、仮に投資をスタートするのであれば、最初にやるべき大事なポイントがあります。それは「将来に向けた人生の設計図(ライフプラン)を考える」ことです。
人生には様々なイベントがあり、ご家族の夢や希望、老後の生活イメージもあると思います。それらを事前に考えておくのがライフプランの一部です。そして重要なのが、自身が想像するライフプランやイベントは、お金と密接な関係があることです。
どのぐらいの収入があるか?結婚するのか?賃貸か持ち家か?など。。。これらを考えることで、実際にどのぐらいお金が必要で、どの様に準備していくのか?つまり具体的な資産形成の方法を考える事になり、結果として投資の目的や目標が明確にする事が出来ます。
セフティーではプロのファイナンシャルプランナーが、お客様と一緒にライフプランの作成をするお手伝いも出来ますのでご興味ある方はお気軽にお問い合わせ下さい。
さて「ライフプランから具体的な資産形成の方法を考える」と上述しましたが、資産形成の方法は「投資」だけではなく「貯蓄」する方法もあります。
日本人はまだまだ「投資」よりも「貯蓄」で備える人が多いのが事実です。しかし超低金利時代の今、貯蓄だけではお金はほとんど増えません。
そこで、国は将来の資産形成の為に「貯蓄から投資へ」と言ったスローガンを打ち出し、新たな制度を作ろうと考えました。それがNISA(少額投資非課税制度)やiDeco(個人型確定拠出年金)です。
これらの制度では、将来の資産形成を手厚い税制優遇を受けながらお得に出来ます。ただし2つの制度は税制優遇の内容や加入条件など様々な面で違いがあります。
2つの制度については、目的やメリットを把握して有効に活用する事をオススメしますが、今回のブログではNISAに絞ってご説明します。
そもそもNISAってなんなの?まずはこの疑問からお答えします。
NISAは、イギリスのISA(Individual Savings Account)を参考に導入され、NIPPONの頭文字「N」をとってNISAと名付けられました。
日本語では「少額投資非課税制度」といいます。「非課税」の文字があるとおり、投資で得られた利益が非課税になる税の優遇制度です。
通常、投資で得た利益(売却益や配当金など)には20.315%の税金がかかります。しかし、NISAを利用すると、定められた保有期間に限り非課税で投資の利益を受け取れます。(非課税となる投資額には上限限度あり) NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」があり、非課税となる保有期間や投資額の上限枠、投資可能商品がそれぞれ異なります。
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA(20歳未満) | |
利用可能年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 | 20歳未満 |
制度開始 | 2014年1月から | 2018年1月から | 2016年4月から |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 ※ただし、2023年末以降に非課税期間が終了するものについては、 20才まで非課税で保有を継続可銭。 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
投資可能商品 | 上場株式・ETF・ 公募株式投信・REIT等 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 ※金融庁への届出が必要 | 一絞NISAと同じ |
買付方法 | 通常の買付け・積立投資 | 積立投資(累積投資契約に基づく買付け)のみ | 一般NISAと同じ |
払出し制限 | なし | なし | あり(18歳まで) ※災害等やむをi墨ない場合には、非課税での払出し可寄E. |
備考 | 一般とつみたてNISAは年単位で選択制。2023年1月以降は18歳以上が利用可能 | 同左 | 2023年末で終了 |
3つのNISAについて細かい説明をすると、長くなってしまうので詳細は金融庁のページをご覧ください。
<一般NISA>
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/index.html
<つみたてNISA>
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/index.html
<ジュニアNISA>
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/junior/index.html
なお、2020年度制度改正においてNISAの見直しが行われました。では、どの様に変更されたのでしょうか?
新しいNISA(新NISA) | つみたてNISA | |
利用可能年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
制度開始 | 2014年1月から | 2018年1月から |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 |
年間非課税枠 | 2階部分 102万円 1階部分 20万円 | 40万円 |
投資可能商品 | 2階部分 上場株式・ETF・公募株式投信・REIT 等 1階部分 つみたてNISAと同様 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 ※金融庁への届出が必要 |
買付方法 | 2階部分 通常の買付け・積立投資 1階部分 つみたてNISAと同様 | 積立投資(累積投資契約に基づく買付け)のみ |
払出し制限 | なし | なし |
備考 | 新しいNISAとつみたてNISAは年単位で選択制 | 同左 |
新NISAとつみたてNISAは併用することはできません。(年単位で切り替え可能)どちらかを選択する必要がありますが、ご自身の目的や投資スタイルに合わせて選ぶのがポイントです。
通常NISA | つみたてNISA | |
目的 | 多少のリスクがあっても、大きな運用益がほしい | リスクは少なめで、コツコツ資産の積み上げをしたい |
投資経験 | 投資経験者、または興味があり勉強したい | 投資は不慣れで初心者 |
余裕資金 | 多め 年間120万円 (5年間で最大600万円) | 少なめ 年間40万円 (20年間で最大800万円) |
運用期間 | 中長期(5年間)で考えている | 長期間(20年間)で考えている |
金融商品 | 自分で選んで対象商品を決めたい (スポット購入・積立) | 絞られたファンドの中から決めたい (積立) |
ここまでNISA、つみたてNISAについて簡単にご説明しましたが、実際「貯蓄」と「投資」の利回りはどのくらい違うの?と疑問を持たれている方も多いかと思いますので比べてみましょう。
仮に毎月1万円を20年間「貯蓄」または「投資」した場合、両方とも元本は240万円となります。
(1万円×12ヶ月×20年間=240万円)
20年間毎月1万円を「貯蓄」した場合(メガバンクの金利0.001%で計算)
2,400,200円
20年間毎月1万円を「投資」した場合(長期投資の平均利回り3%で計算)
3,276,605円
【差額:876,405円】
「貯蓄」と「投資」ではこれだけ違います。もちろん投資の利回りは保証されるものではなく、元本割れのリスクもあります。そこで、1~2年の短期ではなく10年以上の【長期運用】やを行う長期投資や、資産(銘柄)や投資先の地域などを組み合わせる【分散投資】によりリスクを減らす事が可能です。
貯蓄は資産形成の基本であり安全です。しかし、必要以上にお金を「貯蓄」に回す事は、人生100年時代の資産形成(資産寿命)と言う観点では心もとないのが現実です。
まずは、先述した通り人生100年時代における、ご自身のライフプランを明確にして、資産形成も含めた将来設計を行い、「貯蓄」と「投資」をバランス良く使い分ける事が資産寿命を延ばすポイントです。
少しでも資産運用(投資)について不安が取り除けたならば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
※本投稿の内容は、情報の提供を目的としており、投資やその他の行動を勧誘、または推奨する目的としたものではありません。
※投資の最終決定は、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解された上で、ご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。