2年前に30年来ビジネスを共にした同志が他界しました。一年半に及ぶ治療で、必ず生還すると待っていた大切な友は、60才前半の若さで旅立ちました。
同志とは弊社のビジネスを支えてくれた経営者であり仲間でした。その同志の社員とご家族の失意は言う迄もなく、私自身も大きなショックを受けました。
一年半の闘病生活の間に、事業継承と生命保険の相談は受けていましたが、他界後に聴いた「保険金支払いゼロ」の結果には仰天しました。
今回は本件について同志のご家族にも事前に確認や同意をして頂いた上で、ことの顛末や弊社の新たな決意をお伝えします。【執筆:株式会社セフティー 会長 西方 二男】
同志は弊社ではなく他代理店から生命保険を加入しており、保障内容も問題がありませんでした。しかし、生命保険の更新タイミングが、入院中に到来した事が結果的に「保険金支払いゼロ」の悲劇を招きました。
長年加入してきたお客様をお守りする筈の保険が、体調を崩した時に、更新を迎えるとは、誠に皮肉でありまずが、捉え方によっては保険内容を見直しするよい機会にもなるかと存じます。
しかし、入院期間中の更新手続きで、契約者の権利を奪うトラブルに発展しているとは、想定外であり、正に「青天の霹靂」でした。
今回の更新で、同志は以下2点の意向を代理店に伝えておりました。
当たり前ですが、この様なお客様からのご希望があった場合、代理店は真摯に受け止め可及的速やかに対応する必要があります。
特に、代理店を変更したいというご希望は、特段の事情がなければ代理店が「NO」を突きつけられたのと同義であり、大いに反省すべきところです。
今回の窓口変更希望の理由は、扱い代理店との信頼関係が希薄になってことが原因でしたが、弊社が相談を受けている時には、重大な病気で入院しているのだから、代理店変更より、継続契約最優先を強くアドバイスしていました。
この更新(意向)について、同志やそのご家族は、代理店と保険会社で打合せしていたようですが、驚くことに、「生命保険会社から代理店変更は認めない」との連絡があったと聴いています。結局、顧客の希望は叶わず進展しませんでした。
また、この大事な更新期間にも関わらず、保険会社も、代理店も、一度も訪問して来ることはなく、一度も顔を合わせた話し合いがなかったそうです。
そんな状況が続く中、ドラマのようですが、本人がこん睡状態となり「話し合いの途中で本人が意思決定が出来ない状態となった」ために、契約更新は出来ず、保険は切れてしまい、その結果が「保険金支払いゼロ」でした。
こんな事があって良いのでしょうか。
保険引受けの当事者(他代理店や保険会社)は、長い期間、保険料を払って来たお客様への感謝を込めて、お客様の声に真摯に耳を傾ければ、お客様を救済する対応が出来た筈であります。
同志が希望するこの声が、なぜ受け入れられなかったのか?ご家族に訴訟を促すも、本人が戻らない裁判は、希望しないお気持ちです。同志の会社には債務もあり、日常生活を取り戻すには、もう少し時間が必要であり、天国にいる同志は、この事実をどう思っているでしょうか?
保険業法に基づき生命保険業務に関する紛争解決業務を行う者の指定を受けた紛争解決(ADR)機関(生保ADR)の報告では、令和3年341件、令和2年377件で、依然として多いのです。但し、裁判外紛争解決のADRは、勇気ある人達の場であり、多くの人は泣き寝入りが実態では?と危惧しています。
生命保険ADR – 裁定審査会が取り扱った事案の概要
https://www.seiho.or.jp/contact/adr/item/
生保はセンシティブ情報が多く、外部介入には制限がありますが、今回の件は、もっと深く介入して上げるべきだったと後悔しています。
この出来事を機に、弊社の「人保険(生命保険)扱い」方針を見直し、出直しすることとしました。損害保険はもちろん生命保険も含めてお客様をお守りする。それが弊社の使命です。
具体的には以下の取組を進めておりますが、今まで積み上げたお客様の信頼を裏切る様な『過度な営業』『無理な営業』は、絶対にありませんので、ご安心ください。
弊社は長年「お客様の付き合い権利は奪わない」を前提に、生保営業自粛して来ましたが、この出来事を目前にして、今までの考えを恥じています。
但し、当社は生保を単体でオススメする事はありません。お客様の「モノガタリ(人生・夢・出来事)」をお守りするために、損害保険や生命保険も含めた顧客本位のご提案をさせて頂いております。
損害保険では定期的な更改があるため、お客様とご連絡を取る(繋がる)機会がありますが、生命保険は長期契約となり、更新も数年から数十年単位となってしまいます。
お客様との関係性を希薄化させないために、お変わりやお困りはありませんか?を確認する「安心コール」を定期的にさせて頂いております。
弊社は創業から損害保険のプロとしてやってきました。生命保険は、お客様からのご相談が無い限り積極的に取り組まない関係上、比率としては損保9割、生保1割程度です。
生命保険を利用してお客様をお守りするための知識やノウハウが圧倒的に不足しております。
そこで、お客様にご満足していただける質の提案が出来る様に生命保険のプロと提携させて頂きました。(簡単ですが写真にてご紹介させて頂きます)
私の父は、建設工事で事故死しました。私は中二でしたが、なぜか?労災保険は適用されず、残された母と子供三人は、言葉で言い尽くせないほどの苦労をしました。
疑問が解けず、大人になり疑問を抱き、再確認した結果、不適用の原因は、現場監督だった父が「ヘルメットを着用していなかったこと」が原因の説明を受けていたがあったこと知り愕然としました。事業主は、私たち親子に、真っ赤な嘘を付いた訳です。
弱者を助ける立場の保険が、弱者にしわ寄せされるのはもう沢山です。自分達の損得で保険を扱う関係者は、業界から退場して欲しいのです。
車や家は買い戻せても、生命と愛情は取り戻せません。弊社は襟を正し、遅れ馳せながら「人保険の取組み」を考え直し、社会のため、お客様のために、貢献して行くことを誓います。