自然災害や感染症、そしてサイバー攻撃など、中小企業が抱えるリスクが年々複雑化しています。
突然の災害や事故によって事業が停止すると、経営に大きな影響を与えることは避けられません。しかし、適切な準備をしておくことで、そのリスクを大幅に軽減することが可能です。
そこで注目されているのが「事業継続力強化計画」通称「ジギョケイ」です。
ジギョケイとは、災害や事故が発生した場合に、事業を継続したり、迅速に復旧したりするための計画のことです。ジギョケイを作成することで、様々なメリットが期待できます。
特に中小企業は、大企業に比べて経営資源が限られており、一度の大きな打撃で倒産してしまうリスクが高いです。このようなリスクに備え、事業継続力強化計画を策定し、企業の存続を図るための「羅針盤」を用意できる事が最大のメリットです。
今回の記事では、近年多発している自然災害のリスク、事業継続力強化計画(ジギョケイ)が出来た背景、そして策定するための支援などを、分かりやすく解説します。
日本は、世界と比べて自然災害の割合が高く、災害大国と呼ばれています。
東日本大震災や能登半島地震などの大地震、頻発する大型台風やゲリラ豪雨など、自然災害による被害は、近年さらに甚大さを増しているかと思います。
日本は特に地震による被害が多い国です。ちなみに2024年1月~10月末までの震度1以上の地震発生回数は3,262回、2000年~2024年までの震度6以上の地震は62回も発生しています。
これは毎年約2.6回の大地震が発生していることとなります。地球上の大地震の20%が日本で起きているとも言われ、政府の見解では首都直下地震が30年以内に70%程度の確率で発生すると予測されています。
地震だけではありません。日本は地理的・気象的な条件から、水害が発生しやすい国です。
また、近年では地球温暖化(沸騰化)により、大型台風や線状降水帯による局地的な大雨、ゲリラ豪雨(雷雨)などが年々増加しています。これらの異常気象は今後ますます激しく、頻繁に発生すると言われています。
平成23年から令和2年までの水害統計によると、10年間で97.6%の市区町村で1回以上の水害が起きていて、水害が発生していないのは、わずか2.4%(41市区町村)に過ぎません。
水害はもっとも身近な災害のひとつだといえます。
この様に地震や水害などの自然災害は、遠い未来や遠い地域の話ではなく、差し迫った身近なリスクと認識して、企業は減災・防災などの事前対策をすることが大切です。
前述のように災害大国ニッポンでは多くの自然災害のリスクが大きいですが、皆さんの会社は「もしもの事態」にどれだけ備えていますか?
国は自然災害で被災した中小企業に対し、補助金や融資などの様々な支援し、経済活動の安定化を図るための政策を打ち出しました。
しかし、全ての中小企業を「支援」のみで救済することは難しいのが現状です。
そこで、自然災害時に備えて事業継続のための方法や手段などを取り決めておく、事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)の策定を中小企業に推奨してきました。
ところが、中小企業における事業継続計画(BCP)の策定率は、2023年5月時点で15.3%程度にとどまっている状況が続いています。(参考:中小企業庁 | 2024年版 中小企業白書 より抜粋)
中小企業の事業継続計画(BCP)策定が進まない理由としては「BCPを策定する人材や時間が不足している」「策定に対するハードルの高さ」があるそうです。
このような状況を少しでも改善するために、BCPのはじめの第一歩として誕生したのが「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」です。(2019年7月にジギョケイの認定を受けられる制度が盛り込まれた、中小企業強靭化法が施行)
日本経済を支えるのは中小企業の存在です。災害時に中小企業が事業を継続できない事態が長引けば、地域経済だけでなく国全体に悪影響を及ぼしてしまいます。
大企業と違って、中小企業には余裕資金や人員が限られているため、ひとたび災害が起きると立ち直るのが難しいという現実があります。
災害が発生した際に、企業がリスク管理を怠り、十分な備えをしていない場合、事業の復旧が大幅に遅れる可能性があります。迅速な事業復旧ができないと、取引先や顧客からの信頼を失い、経営に大きな影響が出ることは明らかです。
その様な、自社の災害リスクなどを認識し、中小企業が防災・減災対策の第一歩として取り組むために必要な項目を盛り込んでいるのが「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」です。
また、ジギョケイを策定して、国から認定を受けると、防災・減災設備に対する税制措置、低利融資、補助金の加点措置など、中小企業に嬉しい様々なメリットを受けることができます。
ロゴマーク活用 | 認定ロゴマークをホームページや名刺などで利用が出来る。顧客や取引先へ防災対策をアピールできる。 |
金融支援 | 低利融資や信用保証枠の拡大などが受けられる。 |
税制融合 | 防災・減災設備に対する税制措置が受けられる。 |
補助金 | 一部の補助金において、加点措置が受けられる。県・市等からの補助金等の支援が受けられる。 |
損害保険料 | 保険会社によっては、一部商品において認定取得に伴い、保険料の割引適用を受けられる |
セフティーでは、地震保険等を販売している代理店として「お客さまが広域大規模災害で被害に遭われた際に、どこよりも早く業務を立ち上げ、1分でも1秒でも早く生活支援金や事業継続資金である保険金をお届けすること」をミッションにBCPを作成しています。
また、事業継続力強化計画も認定制度がスタートした2019年(令和元年)に取得しました。これらの経験を活かして、2023年から中小機構を通じて事業継続力強化計画の策定支援をしております。
以下のサイトから手順にそってお申込みください。
「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」の策定支援を受けて、国の認定を受けよう!
<手順>
・申請フォームに沿って入力。
・【エントリー経緯】にて「支援者からの直接のがけ」を選択。
・【支援企業(者)所在都道府県】にて「東京都」を選択。
・【支援企業(者)名】にて「株式会社セフティー」を選択。
・その後、申請フォームを最後まで入力し送信すれば完了です。
※全国での支援数が決まっておりますので、応募状況により早く受付を終了する可能性があります。
万が一の備え。それは保険も同じです。事業継続計画(BCP)や事業継続力強化計画(ジギョケイ)、そして保険を活用しながら会社や従業員を守ることが大切です。
事業継続力強化計画(ジギョケイ)の策定に興味がある方がいれば、お気軽にご相談ください。
項目 | 事業継続計画(BCP) | 事業継続力強化計画(ジギョケイ) |
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目的 | 災害や事故などの非常事態時に、事業を迅速に再開・継続するための具体的な計画を策定すること。 | 防災・減災の取り組みを強化し、非常時に備えた体制を整備することで、事業継続力を向上させる。 |
認定 | 特段なし。企業の自主的な取り組みとして策定する。 | 国(中小企業庁)の認定を受けることができる。 |
作成の難易度 | 高い。企業ごとに必要なリスク対応が異なるため、専門知識や綿密なリスク分析が必要となる(決まったフォーマットなどもない) | 低い。中小企業庁のガイドラインに沿って策定すればよく、比較的簡単に取り組める(テンプレートや支援が用意されている)。 |