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火災保険の水災補償は必要?台風・豪雨・都市型洪水(内水氾濫)のリスクに備える
保険・お金
2026年8月、千葉県を中心に記録的な大雨が発生し(令和8年8月千葉豪雨)、各地で甚大な被害が発生しました。被災されました皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
気象庁は一部地域に大雨特別警報を発表し、河川の氾濫や道路の冠水、住宅の床上浸水・床下浸水、自動車の水没など、深刻な水害被害が相次いで報告され被害の大きさに驚かれた方も少なくなかったかと存じます。
近年は地球温暖化の影響により、ゲリラ豪雨や線状降水帯の発生が増加しており、全国各地で豪雨災害や水災リスクが高まっています。特に都市部では、短時間に大量の雨が降ることで排水能力を超えてしまい、道路冠水や内水氾濫(都市型洪水)が発生するケースが目立つようになりました。

【出典】国土交通省関東地方整備局( https://www.ktr.mlit.go.jp/saigai/kyoku_dis00001046.html )
【参考】令和8年8月千葉豪雨 被害に対する関東地方整備局の対応について.pdf
「川の近くに住んでいないから大丈夫」「ハザードマップ上では水災リスクが低い地域だから安心」と考えている方もいるかもしれませが、今回の千葉豪雨では、比較的水災リスクが低いとされていた地域でも浸水被害が発生しており、都市型洪水はもはや誰にとっても他人事ではありません。
大切なのは、自宅や職場周辺の浸水リスクを日頃から確認しておくこと、そして万が一に備えて火災保険の水災補償の内容を把握しておくことです。
そこで今回は、河川の氾濫による従来型の水害への備えはもちろん、近年増加している都市型洪水への対策や、火災保険の「水災補償」でどこまで補償されるのかについて、わかりやすく解説していきます。
目次
最近は激しい豪雨が多い?近年増加している水害について
元々、日本は梅雨があり台風も多いことから『雨』によって災害が発生しやすい国です。しかし、ここ数年で雨の降り方が激しくなり一昔前と変わったと思いませんか?
近年は雨の振り方が変化

水害レポート2025 (PDF:10.2MB) | 国土交通省 ※PDFファイルでサイズが大きいのでご注意ください。
実際、国土交通省の調査では、滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)時間雨量50mmを上回る短時間降雨の発生件数が増加しているそうです。
例えば、1時間に50mm以上の雨が降る短時間強雨の年間発生回数は、1976年から1985年までの10年間平均が226回だったのに対し、2016年から2025年までの10年間平均では340回に増加しています。全国のアメダス観測データを約1,300地点あたりに換算した比較では、約1.5倍に増えていることになります。
さらに注目すべきなのは、雨の強さが増すほど発生回数の増加幅も大きくなっていることです。
- 1時間降水量50mm以上の大雨:約1.5倍
- 1時間降水量80mm以上の猛烈な雨:約1.8倍
- 1時間降水量100mm以上の記録的な豪雨:約2.0倍
このように、近年は短時間で大量の雨が降るゲリラ豪雨や線状降水帯による豪雨が増加しており、河川の氾濫や浸水被害、土砂災害のリスクが高まっています。
総雨量1,000mmの災害級豪雨も
では、ニュースなどでよく耳にする「総雨量1,000mm」とは、どの程度の雨量なのでしょうか。
雨量1,000mmとは、単純にいえば、降った雨が流れずにその場にたまった場合、1平方メートルあたり1,000リットル、つまり1mの高さまで水がたまる量に相当します。
もちろん、実際には雨水が河川や下水道などへ流れるため、降った雨がそのまま1mの浸水になるわけではありません。
しかし、短期間にこれほど大量の雨が降れば、河川の増水や氾濫、土砂災害などにつながるおそれがあります。
実際に、2019年10月の令和元年東日本台風(台風第19号)では、神奈川県箱根で10月10日から13日までの総降水量が1,000mmに達するなど、記録的な大雨となりました。東日本を中心に広い範囲で大雨となり、各地で河川の氾濫や土砂災害などの大きな被害が発生しました。
そして、今回の豪雨をきっかけに、これまで大きな水害を経験したことがない地域でも、自宅周辺の浸水リスクや避難経路、そして火災保険の水災補償について、改めて確認しておくことの重要性が増しています。
自宅の水災リスクをハザードマップで確認
ハザードマップの種類と確認したい点
まず皆さまにぜひ確認していただきたいのが、お住まいの地域のハザードマップです。

ハザードマップとは、洪水や浸水、土砂災害、津波などの自然災害リスクを地図上で分かりやすく示したものです。住所を入力するだけで、自宅や勤務先周辺の災害リスクを簡単に確認できます。
国土交通省の「重ねるハザードマップ」では、お住まいの地域を検索して、どのような災害リスクがあるのかを確認できます。
ハザードマップで特に確認していただきたいのが以下3点です。
- 自宅が浸水想定区域に入っているか?
水害リスクの有無を確認し、水災補償が必要か判断しましょう。 - 浸水した場合、どの程度の深さになるのか?
浸水深によって建物や家財への被害規模が大きく変わります。 - 浸水がどのくらいの期間続く可能性があるのか?
浸水が長引くほど生活への影響も大きくなるため、避難計画の参考になります。
ハザードマップの「浸水深」はどのくらい危険?
ハザードマップでは、洪水や浸水が発生した場合に予想される水深が色分けされています。自治体によって色や区分が若干異なる場合がありますが、一般的な目安は次のとおりです。

| 浸水深等の情報 | 住宅への影響 | 注意点 |
|---|---|---|
| 家屋倒壊等氾濫想定区域 | 建物の倒壊・流失の可能性 | 浸水だけでなく建物被害も想定。最優先で避難が必要。 |
| 浸水深3.0m以上(2階床面が浸水)の区域 | 2階部分まで浸水する可能性 | 命に関わる危険性が高く、安全な場所への事前避難が必須。 |
| 浸水深0.5m~3.0m(1階の床面が浸水)の区域 | 床上浸水の可能性 | 平屋や1階部分は浸水のおそれ。早めの避難が必要。 |
| 浸水深0.5m未満の区域 | 床下浸水や道路冠水の可能性 | 車の走行は危険。避難が遅れた場合は上階へ避難。 |
なお、浸水深はあくまで想定される浸水の深さであり、実際の災害では想定を超える浸水が発生する可能性もあります。
また、0.5m未満の区域が相対的に安全に見えてしまいますが、実際には、道路冠水による移動困難や、流速・マンホール等による危険もあります。
「自宅は何メートル浸水するのか」だけでなく、どのタイミングで、どこへ避難するのかまで、平時のうちに家族で確認しておくことが大切です。
内水氾濫(都市型洪水)のリスクも正しく調べる
ハザードマップで自宅が浸水想定区域外だったとしても、「水災の心配はない」とは言えません。
短時間に記録的な大雨が降ると、河川の氾濫だけでなく、雨水を排水する施設の処理能力を超えることで、道路や住宅などが浸水する「内水氾濫」が発生することがあります。
内水氾濫は、河川から水があふれる洪水とは異なり、降った雨を下水道や側溝などで排水しきれなくなることで発生する都市型の水害です。

内水氾濫については、国土交通省の重ねるハザードマップでだけでなく、お住まいの自治体が作成しているハザードマップも確認しましょう。
自治体のハザードマップには、地域ごとの内水ハザードマップや浸水想定区域、避難所、避難経路など、より身近で詳細な防災情報が掲載されている場合があります。
以下のページでは東京都の各自治体(区市町村別の)ハザードマップ情報などを確認することができます。
ハザードマップ|TOKYOすまいと 住まい選びの東京アクセスガイド|東京都住宅政策本部
なお、ハザードマップは一定の条件を想定して作成されたものであり、実際の降雨量や雨の降り方によっては、想定を超える浸水が発生する可能性もあります。
そのため、ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認することはもちろん、ご自宅が「すり鉢状の地形にないか?」「周囲より地盤が低い場所ではないか?」なども確認しましょう。こうした場所は雨水が集まりやすく、浸水想定区域外であっても内水氾濫による浸水被害が発生する可能性があります。
火災保険は広範囲の補償が可能で水災補償も付けられる
火災保険(水災補償)の基本について
ハザードマップでご自宅の浸水リスクを確認したら、次は現在ご加入中の火災保険の補償内容を確認してみましょう。
「水害なのに火災保険?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
火災保険は名前のとおり火災だけを補償する保険ではありません。火災のほかにも、風災・雪災・ひょう災・落雷・水災など、住まいを取り巻くさまざまなリスクに備えることができます。

大雨や台風による洪水・浸水などの水災に備えるためには、火災保険に「水災補償」を付帯することが有効な備えの一つです。
一方で、火災保険料を抑えるために、水災補償を付帯していない方も少なくありません。
損害保険料率算出機構の2024年度データによると、火災保険の水災補償付帯率は全国平均で61.8%となっています。単純に計算すると、約4割の契約では水災補償が付帯されていないことになります。
もちろん、建物の立地や階数などによって水災リスクは異なります。そのため、「水災補償は必ず付けるべき」と一律に考えるのではなく、まずはご自宅の水災リスクを確認したうえで、必要な補償を検討することが大切です。
まずは現在の火災保険の保険証券や契約内容を確認し、「どのような事故が補償されるのか」「水災補償が付いているのか」「建物と家財のどちらが補償対象なのか」を確認してみましょう。
火災保険の補償対象は「建物」と「家財」の2つ
火災保険の補償対象は大きく2つに分かれます『建物』と『家財』です。一例を上げると以下のとおりです。
| 建物 | 家財 |
|---|---|
| ・建物、塀、門 ・車庫、物置 ・ドア、窓、畳 ・備え付けの収納 ・冷暖房設備 など | ・家具 ・家電 ・衣類、バッグ ・腕時計 ・自転車、原付 など |
※具体的な補償対象は保険会社や商品、契約内容によって異なります。詳しくはご契約の保険証券や重要事項説明書などをご確認ください。
火災保険の補償対象は、一般的に「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」から選択します。
考え方としてはご自身のご自宅を小さくして手に持って縦横上下に振った際に、動かないもの(備え付けの収納や冷暖房設備なども含む)は『建物』となり、動くものは『家財』の扱いとなります。
ここで注意したいのが、建物の火災保険に加入しているからといって、家財まで自動的に補償されるとは限らないということです。
例えば、浸水によって床や壁などの建物に損害が生じた場合と、家具や家電などの家財が水に浸かって損害を受けた場合では、確認すべき補償対象が異なります。
「建物は補償されるけれど、家財は補償されない」という契約もありますので、ご自身の火災保険が「何を」「どこまで」補償する契約なのかを、今一度確認しておきましょう。
水災補償の支払要件や勘違いされやすいポイント
さて、火災保険の補償内容を確認した上で、次に理解したいのが水災補償の支払い要件です。すべての水災が補償されるのではなく、 水災の補償が受けられないケースもあります。
なお、保険金の支払条件や定義は保険商品によって異なる場合がありますので、具体的な補償内容については、ご加入中の保険会社や代理店に確認することをおすすめします。
水災補償の支払要件について

水災補償の保険金が支払われる条件は、保険会社や保険商品、契約内容によって異なります。例えば、一定以上の損害を受けた場合や、床上浸水など一定の浸水条件を満たした場合を補償の対象としている商品があります。
そのため、「自宅が浸水した=必ず保険金が支払われる」とは限りませんが、一般的な火災保険(水災補償)では、次のような条件を満たした場合に保険金が支払われる可能性が高くなります。
1️⃣建物や家財の損害額が再調達価額(新価)の30%以上となった場合
再調達価額とは『保険の対象となっている建物や家財と同じものを新しく建設や購入した際に必要となる金額』のことです。保険会社によっては「新価」「保険価額」と呼ばれる場合があります。
つまり、建物が3000万円の場合、その30%である900万以上の損害が発生すると支払要件を満たすことになります。
2️⃣「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が発生した場合
床上浸水とは、住宅の居住スペースの床面より上まで水が達した状態をいいます。
ここでいう「床」とは、畳やフローリングなど生活スペースの床面を指し、玄関の土間やコンクリート部分は含まれません。
豪雨や河川の氾濫によって床上浸水が発生すると、建物だけでなく家具や家電製品にも大きな損害が発生する可能性があります。
「水ぬれ」と「水災」は別の補償
「漏水などによる水濡れ(みずぬれ)」は、水災と混同されやすいですが異なります。
例えば、給排水設備の事故による漏水や、マンションの上階からの漏水によって建物や家財が損害を受けた場合は、「水ぬれ」の補償が関係するケースがあります。
一方、洪水や大雨による浸水などは「水災」の補償が関係します。
さらに、台風などの風災によって屋根や窓が破損し、そこから雨が吹き込んだ場合には、「風災」の補償が関係する可能性があります。
このように、「水による損害=水災」ではありません。
どの補償が適用されるかは、損害が発生した原因や状況、契約内容によって判断されます。
万一被害に遭った場合には、自己判断で「これは水災だから補償されない」などと決めつけず、まずは保険会社や代理店へ相談しましょう。
雨漏り・水ぬれ・漏水は「原因」が重要
『水』に関する損害なので水災で補償されると勘違いされてしまうのが、雨漏れ・水濡れ・漏水です。
保険は発生原因によって補償有無が決まります。現象が雨漏れ・水濡れ・漏水であっても、原因が「経年劣化」「人為的なミス」の場合は補償が受けられない可能性が高いです。
保険は「何が起きたか」ではなく、「なぜ起きたか」が重要です。以下の例でご説明します。
1️⃣屋根から雨もれが発生した
❌️原因が「屋根がとても古く自然に劣化して雨漏りした場合」は補償されません。
⭕️原因が「台風で屋根の一部や瓦が壊れた」場合は、補償をうけられます。
2️⃣窓からの雨が吹き込んで家の中に被害が出た
❌️原因が「窓の閉め忘れ」の場合は人為的ミスになるため補償されません。
⭕️原因が「台風で飛んできた石などにより窓が割れた」場合は、補償をうけられます。
3️⃣換気扇から雨が吹き込んで家の中に被害が出た
❌️原因が「設備の不具合や経年劣化」の場合は補償されません。
⭕️損害を受けた日に台風や暴風雨による強風により壊れた等の証明が出来れば補償を受けられる可能性が高いです。
地震が原因の土砂崩れや津波は水災補償の対象外
土砂災害についても、原因によって適用される補償が異なります。
例えば、大雨や台風などによって土砂崩れが発生し、建物などに損害が生じた場合には、水災補償の対象となる可能性があります。
一方、地震によって発生した土砂崩れや、地震による津波によって生じた損害は、原則として火災保険の水災補償では補償されません。
地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災や損壊、埋没、流失などの損害に備えるためには、火災保険に加えて「地震保険」を契約する必要があります。
このように、同じ「自然災害による損害」でも、原因によって必要となる補償が異なります。
まとめ|豪雨災害に備え、火災保険の補償内容を確認しましょう
近年はゲリラ豪雨や線状降水帯による大雨が増加しており、これまで水害リスクが高いと考えられていなかった地域でも浸水被害が発生しています。
自然災害そのものを防ぐことはできませんが、その後の経済的な負担を軽減し、生活の再建を支えるために有効なのが保険です。特に近年は、水災リスクや地震リスクへの備えの重要性が高まっています。
一方で、物価高や保険料の上昇を背景に、火災保険の補償内容を見直(削減)している方も多いのではないでしょうか。
しかし、保険は万が一の事故や災害が発生したときに初めてその価値を発揮する商品です。保険料だけで判断して必要な補償を外してしまうと、いざという時に十分な補償が受けられず、生活再建に大きな負担が生じる可能性があります。
今回の記事を参考に、
- ハザードマップで自宅周辺の水災リスクを確認する
- 火災保険に水災補償が付いているか確認する
- 建物と家財の補償範囲を確認する
- 地震リスクに備えて地震保険も検討する
- 家計と備えのバランスを検討する
といった点を、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
弊社(セフティー)では、現在ご契約をお預かりしているお客様はもちろん、他社でご契約中のお客様からの火災保険や地震保険に関するご相談も承っております。
「自宅のハザードマップを見ると水災補償は必要?」 「今の火災保険で浸水被害は補償される?」 「保険料を抑えながら必要な補償を確保したい」
このようなお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。地域密着の保険代理店として、お客様一人ひとりのリスクやご予算に合わせた最適な備えをご提案いたします。
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